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 旧都電路線巡り江戸三十三観音札所巡りに続く都内散歩として、村谷は暗渠化された緑道を含む川筋歩きを行うこととした。
なお、季節柄川風が冷たい時期が多いと思われるので、多摩川や荒川などの大河川は極力回避する方針。

 本日歩く桃園川は、荻窪駅近くの天沼弁天池公園を水源として、中野坂上近くの末広橋で神田川に合流していた。
長年にわたり農業用水として使用されてきたが、流域の荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺・中野地区の都市化に伴いその役割を終えた。
 度々の水害や汚染にも悩まされたため、昭和42年に全面暗渠化されて下水道幹線として生まれ変わった。
その後、昭和60年から平成6年にかけて、緑道として整備された。

 午前11時20分、都営大江戸線・東京メトロ丸の内線・
中野坂上駅改札を出て地上に出た。交通量が多い青梅街道を新宿方面に向かい、坂を下っていく。曇天で、ところどころに青空の隙間が見えている。

 淀橋神田川に突当り、神田川四季の道の左岸を北上する。背中から優しく日差しが照り付けてきて、マスクなしの静かな散歩ができる。
栄橋、松井橋を経て大久保通りに架かる末広橋の手前から桃園川緑道が始まる。神田川との分岐点には、南こうせつのヒット曲「神田川」の歌碑が立っている。

 杉並区と中野区にまたがるこの緑道は、それぞれの区の特性を表していて、対照的である。中野区部分の2.4kmは、遊歩道の両側にカラフルな生け垣が設けられていて、植栽も充実している。また、散歩する人たちの目安にするためなのか、出発地点からの距離を示す標識が随所に設置されていた。
道の両側がマンションなどの建物に囲まれているため、全く風が吹いてこないのは有難い。

 大久保通り入り口交差点横にある歩道橋で山手通りを横断する。左手南方には出発地点の中野坂上駅がある。
緑道に復帰すると静かさが戻る。

 実践学園中・高の校舎の右手に「中野塔」のレリーフがある。青梅街道沿いにある古刹・宝仙寺が所有していた三重塔があった場所。江戸前期の寛永年間に中野長者が寄進し、江戸名所図会にも描かれている。昭和20年の空襲で焼失するまで、平地に聳え立つ三重塔として親しまれていたという。

 新渡戸記念中野総合病院の先で中野通りを横断する。右手の中野駅方面には、大型クレーン2基が聳え立つ建設中の高層ビルが遠望できる。都心部の大型ビル建設の流れはまだ続いているようだ。

 桃園橋の撤去に伴う下水道工事のため一旦、緑道が通行止めになっていた。中野五差路へ迂回し、裏道伝いに緑道に合流した。

 杉並区に入ると緑道の光景が一転する。カラフルだった生け垣が灰色の石造りに統一されていて、植栽も地元のボランティアの手になる小ぶりなものに変わっていた。橋があった場所には一つ一つ、かつての橋の名が刻まれている。今なお街並みが変貌しつつある中野区と、いまだに武蔵野の面影を保った住宅街が主流の杉並区との違いを映しているようだ。

 環状7号線を渡り杉並年金事務所の先から緑道に戻ると、旧高円寺橋の袂に桃園川緑道の歴史を記した解説版があった。両側に高い建物が少なくなったためか、少し風が出てきたのでネックウオーマーをザックから取り出した。時折すれ違う人たちも中野区の人たちより少し厚着しているように見える。

 右手奥には高円寺の境内が広がっているが、YSC散歩で訪問済みのため遥拝して進む。

 高円寺阿波踊りで知られる高南通りを渡る。右手は高円寺駅に通じる。

 その先で右手が高円寺パル 、 左手が高円寺ルックに分かれているにぎやかな商店街を通り抜ける。

 杉並学院高校の先で中央本線を潜り抜けると緑道が終了し、一般道に変わる。

 右手にまだ新しい阿佐谷けやき公園があったので、ベンチで休憩とした。久々にハチミツカリントウを2,3個齧る。

 地図を見ると川筋らしい道が何とか辿れそうなので、そのまま北上していくと暗渠が残っていた。駐車場の敷地で一旦暗渠が途切れたものの、幸いすぐ横に中杉通りと合流した。

 持参してきた「すぎなみ景観ある区マップ=阿佐ヶ谷・高円寺編」で阿佐ヶ谷北1交差点と阿佐ヶ谷北4南交差点の中間に、水路跡遊歩道を発見した。車止めに描かれた金太郎の目印に沿って、閑静な住宅街を順調に西進する。

 慈恩寺、日本大学幼稚園、藤乃湯、天沼八幡通りを通過し、午後1時10分に水源地の天沼弁天池公園に到着した。本日の行程は110分だった。

 広々した園内には水量豊富な(浄水場から導管で送水されてはいるが)池の横にある紅葉を楽しむ家族連れが数組散歩中。また、杉並区郷土資料館分館が併設されていて、縄文時代の展示物を見学する人たちが出入りしている。

 園内を一望できる木製ベンチが空いていたので休憩タイム。冷えた缶チューハイに、フィッシュソーセージ&ハチミツカリントウで水分補強と足の癒しに努めた。

 ラーメン店が目立つ商店街を抜けて、
荻窪駅から帰途に着いた。

 次回も、水辺歩きを行う予定。(村谷 記)

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★2022年12月2日(金)「桃園川緑道散歩(中野坂上〜荻窪)」