<3月7日(火)春の麗の隅田川散歩(両国駅〜森下駅)>
快晴微風のJR総武線・両国駅西口改札前に菅野・百石・山岡・田幸・村谷の5人が集合した。
大相撲開催時期でもない通常の平日なら午前中はゆったりと乗降客が行き交っているはずだが、様相が違い改札から出てくる人の数がけた違いに多い。しかも黒っぽい背広姿の男性が圧倒的。その謎は、この後すぐに解ける。
先ずは2016年11月にオープンした「両国江戸のれん」に向かう。1929年に建てられた旧両国駅舎を大幅に改装し、江戸の町家を意識した造りで伝統的なレストランが軒を並べる空間を提供した。奥には国技館の土俵が原寸大で設置されていて、テレビで観戦すると比べて意外に小さいと感じる。相撲界にも詳しい山岡によれば「あれほど大きく見えた横綱大鵬が現在の標準的な力士の体格になっており、昔と変わらぬ土俵の大きさがこのままなのがむしろ検討の対象になっている」らしい。
建物にあった唯一現代的なコンビニで、各々つまみ調整の買い物を済ませる。外人観光客を意識した品ぞろえなのか、普通のコンビニでは見かけない珍しいおつまみもいくつかあったようだった。
店外に出て「両国広小路」と墨書された橋柱の横を通過する。千住大橋に次ぐ隅田川2番目の橋として建設された両国橋は、江戸の中心部と対岸の墨田・深川地区を結ぶ交通の要衝で、火災による焼失を防ぐ目的で早くから両岸に広い防火地帯が設けられていた名残だ。
大相撲未開催中には無料で見学できる相撲博物館に入るため両国国技館に向かうと、大変な人だかり。「アントニオ猪木お別れの会」だった。
我らはやむなく通過し、隣接する旧安田庭園に入った。花の端境期のためか入園客が少なく、ゆっくりと散策できてありがたい。池を全面的に見渡せるベンチで最初の休憩。今年1月から菅野が所属する「こあみ句会」に入会したばかりの村谷が、これ幸いと師範代の菅野の指導を乞う。
1日(水)の句会での村谷の「春陽さす 扁額青き 住吉社」が菅野の一言で「春陽や 扁額青し 住吉社」に見事に蘇り、俳句の奥深さと熟達の芸の凄さを知る。
庭園工事中の北門から出て横網町公園に入った。関東大震災からちょうど100年目に当たる東京都慰霊堂内には、珍しく中学生男女の一団がいた。
10日(金)には東京大空襲犠牲者追悼法要が行われる。合掌。
蔵前橋通りに出て隅田川テラスに向かう。左手の安田学園中学・高校も100周年。
左岸からテラスを目指すが蔵前橋付近に降り口がみつからず、やや上流の厩橋方面に戻りテラスに降り立った。
村谷が首都高速向島線で日陰になる左岸をあえて選んだ理由は、蔵前橋と両国橋の間の壁面に描かれた「隅田川テラスギャラリー」。
諸兄も満足する見事な絵の数々がお出迎え。その大半を占める江戸後期と明治初期の浮世絵には、庶民の生きざまが活写されている。
総武線の鉄橋の手前で地上に出ると、左手が先ほど通過した国技館の入り口。
ちゃんこ屋 と 相撲部屋が出没する路地を通過し、京葉道路を左折、両国橋を渡り右岸に出た。
神田川と隅田川の合流点に近い柳橋に出る。テラスギャラリーの一角で描かれた橋の姿は同じだが、当然木製から鉄&石製に替わっている。橋の右手のビルに残る料亭・亀清楼が江戸から明治にかけて隆盛を極めた柳橋花柳界を偲ぶただ一つの建物ながら、コロナ発生以降は門扉が閉ざされたまま。対照的に左手にある小松屋の店頭には、「季節の佃煮 小松屋」が絶賛営業中。
橋を渡り返し、靖国通りを横断、やげん堀に入る。江戸初期には、蔵前橋付近にすらりと並ぶ浅草御蔵の前身となる幕府直轄領の米蔵を結ぶ海路だった。
薬研堀不動尊に参拝する。三大唐辛子の一つの発祥の地、講談発祥の地、 順天堂発祥の地など由緒ある場所。
参拝を済ませてさらに南下、金座通りを横断し、正午過ぎに浜町公園に入った。BBQ場近く、YSC御用達のテラス沿いの6人掛けベンチが空いていた。
ここまでの前半が思わぬ?欲張った長丁場だったのでまずは乾杯。涼やかな川風と、澄み切った青空、歩数を稼いだ充実感で満足する。
5人10様のつまみが広いテーブルに勢揃い。中でも山岡提供の静岡県焼津産のカツオの酒盗&黒はんぺんが好評だった。村谷も2年間の名古屋単身赴任中にしばしば焼津を訪れ、駅ビルで購入した「薄くて、安くて、美味しい」黒はんぺんをつまみに、新幹線こだまで名古屋駅に戻った車中を懐かしく思い出す。
本日出場の日本酒3カップは銘酒ぞろいなので、山内から借用した薬缶でブレンドし、常温で馥郁たる香りを楽しむ。今回もまた、宴の終了時近くに隣接するゴミ箱を整理回収してくださる女性が同じだったので、少しだけお待ちいただきわれらのテーブルの上を整頓した。
新大橋を渡り、萬年橋通りへ右折、江東区芭蕉記念館に入場する(200円)。通常展示に加えて「芭蕉と江戸蕉門〜深川にあった文学サロン」をじっくりと鑑賞した。
庭伝いに隅田川テラスに出て、小名木川との合流点そばにある「芭蕉庵史跡展望庭園」に赴く。数多い芭蕉の後援者の中でも最大の支援者だった門弟・杉山杉風が絵師に描かせた翁の絵を再現したとされる銅像は、今も変わらぬ穏やかな笑みを浮かべて隅田川を眺め渡している。
今月の句会で村谷が「うららかや 川面見渡す 芭蕉翁」を何とかひねり出した場所でもある。
隣接する芭蕉庵跡(芭蕉稲荷神社)は、芭蕉が大阪で病没する直前までの最晩年の14年間に杉風が提供した庵があった場所で、「古池や 蛙飛び込む 水の音」が詠まれた地。
萬年橋に出た。YSC有志5人が加瀬兄のご配慮で小名木川クルージングに乗せていただいた際に行き来したことを思い出す。
欲張り散歩を終えて、芭蕉通り経由、都営新宿線・大江戸線・森下駅方面に向かう。
清澄通りに面した「魚三酒場・森下店」は午後4時開店なので待ちきれない。所要のある菅野とは駅前でお別れし、残る4人は以前訪れたことがある「きんちゃん家・森下店」に入った。
生ビールとレモンサワー組2対2で乾杯、まずは長丁場を慰労した。名物の10円刺身や唐揚げなどでもう1杯?ずつお替りして、春真っ盛りの江東散歩を締めました。(村谷 記)
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コース
JR総武線・両国駅西口〜旧安田庭園〜横網町公園(東京都慰霊堂)〜蔵前橋際から隅田川テラスギャラリーへ降り、左岸を下る〜国技館前〜両国橋を渡る〜柳橋(神田川)〜薬研堀不動院〜浜町公園〜新大橋を渡る〜芭蕉記念館〜芭蕉庵史跡展望庭園〜萬年橋(小名木川)〜芭蕉通り〜都営新宿線&大江戸線・森下駅
<歩行距離:4km±α、歩行時間:1時間10分±α>
*隅田川水辺テラスのみどころマップのうち、「両国・本所・深川・浜町」を参照して歩きました。
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★2023年3月7日(火)「隅田川水辺テラスの春散歩(両国駅〜森下駅)」