明日は雨という予報なので、村谷は標記七福神を巡った。
昭和8年に始まった「麻布稲荷七福神詣」が起源で、戦後 港七福神巡りとして再興されたという。宝船がある十番稲荷神社を含めた八寺社で構成。
全行程は約6キロで、坂道が多いのも特徴。
午後12時半、都営三田線・御成門駅に到着し、長いエスカレーターで地上に上がる。
東京タワーと涼やかな秋風がお出迎え。
東京プリンスホテルの構内を抜けて、増上寺の塀沿いに進む。徳川将軍家の菩提寺を上野寛永寺とともに二分する古刹だが、度々訪問しているので通過する。
東京タワーの足元には、家族連れがパラパラ状態でまだ通常の土曜日の人出は戻っていないようだ。
そのまま直進して桜田通りに降り立った。吉田・滝澤の諸兄とともにここを通って 東海道を巡る旅を始めたのも遙か昔になってしまった。
歩道橋から降りた正面に、周囲のビル街にすっぽりと囲まれた幅二間ほどの蔵造りの店「五代目野田岩」があり、折しも名物の天然うなぎを堪能したらしいお姉さま二人が満足そうな笑みとともに出てきたところだった。そういえばウナ肝焼きは魚三酒場で食しているが、かば焼きはご無沙汰だ。
すぐ先左手に、やはりビルに囲まれた飯倉熊野神社がひっそりと佇んでいた。太田道灌が再建した。
元来は豊漁祈願として恵比須様が祀られ、その後商売繁盛の神様として信仰されてきた。
桜田通りを南下し、東京タワー下交差点で芝公園を横断する。右手から少年と少女を連れたアラフォーと思しきブルーネットの髪に大きな茶色の瞳の外人女性とすれ違う。
公園に入ったすぐ前に、弁財天を祀った宝珠院がある。江戸初期に増上寺の塔頭の一つとして建立された。まだ新しい木造のお洒落な寺院の前にある弁天池に架かった小さな石橋の上では、家族連れが小さな竿でザリガニ釣りの真っ最中。横を通って園内に入った。
いくつもあるベンチは昼時とあってかかなり埋まっている。何とか片隅に一か所確保し、最初の休憩。
定番のチョコナッツとペットボトルのお茶で一息入れてから、次へ進む。
人出が多い赤羽橋交差点で外苑西通りに右折する。交差点脇の都営大江戸線・赤羽橋駅から次の麻布十番駅までは約500m。首都高速と並行に進む。日差しが出てきたが風がちょうどよい。のんびりと土曜日の昼食を楽しむ人たちが、道路沿いのお店で楽しんでいる様子が見える。
新一の端交差点で直角に右折する都心環状線た分かれて直進し、麻布十番商店街に入ると、雰囲気が一挙に変わる。お洒落な服装、外国人、犬を連れた人たちが多い。
麻布十番駅のすぐ先右手に、宝船を祀る十番稲荷神社があった。防火にご利益があるというカエルのお守りが有名。
信号を横断して直進し、人出で込み合う商店街に入った。急な七面坂を上り突き当りを右折すると右手に赤い幟が何本も風にはためいている。大黒天を祀る大法寺。
参拝を終えて横を見ると、ご住職らしい男性が、子供二人を連れた母親と会話中。広くない境内にプラスティック製の網で囲った小屋があり、烏骨鶏のひな鳥が七〜八匹飼われていて、子供たちに説明していた。「たくさん孵化したのですよ」という。
目の前の大黒坂を上り切ったところに木製のベンチがあったので二度目の休憩。ここまでの歩きで出てきた汗で、昨夕 テング酒場で呑んだアルコールは吹き飛んだようだ。
さらに一本松坂を上っていく。坂を上り切った左手に、毘沙門天を祀る麻布氷川神社が出現。ここも太田道灌が勧請したとされる神社で、江戸七氷川の一つ。麻布郷総鎮守として、足腰保護のお守りが人気だという。
右手に下半分より上半分のほうが大きい変わった建物の元麻布ヒルズが出現。高所恐怖症患者にはとても住めそうにない。
仙台坂上交差点を右折する。右手にはアルゼンチン大使館、マダガスカル大使館、カタール大使館が続き、左手の有栖川宮記念公園のグラウンドからは野球を応援する歓声が聞こえる。
この先一帯は大使館のメッカであり、あちらこちらに二人連れの警察官の姿が目に入る。
愛育病院前交差点で、テレビ朝日通りに右折した。警察官の人数が多い中国大使館手前で、紺屋坂に左折して急坂を下る。
笄(こうがい)小学校を半周して、すぐ前の公園で休憩タイム。いくつもあるベンチは家族連れで占められていて、何とか一つを確保してまたチョコナッツ休憩。それほど広くない公園なのに、他ではあまり見られない立派な遊戯施設がいくつもある。よく見ると外人の子供たちが目立つ。
一旦外苑西通りに降り立って少し北上する。
右手の大横丁坂を上り返す。ルーマニア大使館、ギリシャ大使館、ラオス大使館を経て交差点を右折、
本日六番目の寿老人を祀る桜田神社がビルの谷間の幅二間ほどの狭い敷地にひっそりと建っていた。
源頼朝が霞が関に創建し、徳川家康が江戸入府した際に現在地に遷座されたという由緒を持つ。境内では服装を整えた中年男性が境内と本殿を掃除中。土曜日なのでお仕事はお休みと推察した。
門外に出ると目の前に六本木ヒルズ。その横を通り抜けて六本木通りに出て右折。
六本木6丁目交差手を通過し、六本木交差点で外苑東通りに左折。右手に東京ミッドタウンを眺めつつ 三つ先の信号を左折し、左手に神社らしい屋根を見つけて、裏側から境内に入った。600年前に毎夜、江戸湾から竜が灯明を上げに来たという伝説により創建され、福禄寿が祀られている天祖神社だ。思ったより広い境内を抜けて、斜めの道から東京ミッドタウンの正面に戻った。
左手に公園のマークがあるので向かう。長州藩の中屋敷跡に設けられた檜町公園で、中央に大きな池がある。大きな藤棚の下に気のベンチが空いていたので最後の休憩タイム。時刻は午後3時。靴を脱いで残ったチョコナッツを冷たい缶チューハイでゆっくりと消化した。
東側に坂道を下り、最後に布袋尊を祀る久國神社に参拝した。太田道灌勧請と伝えられ、正面拝殿の額は勝海舟の筆になるという。
六本木2丁目交差点に降り立ち、六本木駅から帰途についた。
今になってようやく風の冷たさが感じられた。(村谷 記)
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★2021年10月16日(土)「港七福神巡り(御成門駅〜六本木駅)」