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 霧雨の降る朝、JR五日市線・武蔵五日市駅改札口に集合したのは、百石・山岡・田幸・村谷の4名。
いつもと違い、ハイカー乗客不在の平日の静かなバス停前で協議。

 山々に厚い雲が垂れ下がっているので、当初予定の仏沢の滝〜浅間嶺コースを変更し、駅前からすぐ東に見える尖った里山・天竺山(標高301m)に登頂することとした。

 駅改札前のコンビニで食料を買い整えた後、9時50分、これから東京に戻るらしい外人ギャルの一団をかき分けて出発する。

 取り付きが難しいのが里山の常なので、先ずは観光案内所で、ルートを確認、さらに地元の主婦3人連れにも確かめて最初の目印である三内自治会館に到着。
丸々と太った鯉が数匹泳いでいる池を半周し、傍にあった三内神社の小さな祠に参拝した。

 五日市線の踏切を越えると直ぐに、三内神社の参道が始まる。よく整備された石段を登ってゆくと、頭上に神社の拝殿が見えてきたので、休憩を兼ねて参拝する。
願いは只一つ、「下山までは本日の曇天が持ちますように」だ。
脇にあった稲荷神社などの小さな祠には、古い建造物とは裏腹に、真新しい表示板が設置されていた。

 この先は落ち葉が積もり重なった山道になる。ジグザグに折り返す結構な急斜面で、尾根道に辿り着く頃には一汗かかされてしまった。
ここにも設置されて程ない標識があり、東京都やあきる野市の意気込みが窺われた。
 やや不ぞろいの石段を上り詰めたところが、天竺山の頂上で、三内神社の奥社がある。
荷物を降ろして暫し休憩を摂った。あいにくの天候で遠望は利かないが、五日市の町並みが木の間から垣間見える。

 この山を含んだ横沢入の一帯は、平成2年にJR東日本が住宅地開発の目的で用地買収を行ったが、その後バブル崩壊で自然保護に方針転換し、平成17年3月に東京都に譲渡したものだという。

 平成18年1月に、東京都で最初の里山保存地域に指定された。山岳・丘陵・谷底の複雑な地形から成り、コナラ・クリ・スギ・ヒノキが茂り、ヨシ・ヒメガマ・セリ・チゴザサ・ミゾソバが生え、ゲンジボタル・トウキョウサンショウウオ・イモリ・ホトケドジョウが棲む48万5千平方mの広大な敷地が広がる。
 また、今回は迂回したが、信州・伊那の石工達が移住し、天竺山で伊那石を切り出したという石切場の跡も残っている。

 下山を開始する。湿気が残った粘土質の山道は滑りやすい、慎重に進む。
先頭の百石が見事なストックワークでリードし、平らな地点に降り立ちやれやれだ。

 丁度、“横沢入パトロール”の腕章をつけた男性と出会い、貴重な植生の保護や、棚田復活活動の苦心談をお聴きした。

 緩やかな谷戸の坂道を下ると、目の前に広々した水田の跡地が出てきた。
地元、増戸小学校の生徒や、10団体近くのボランティアの皆さんの手によって、耕作放棄地となっていた棚田を徐々に復活させてきたそうだが、重い実りをつけた田んぼの姿は、何故か心を和ませる。
 そういえば、滝澤兄は信州・姥捨の棚田での稲刈りが済んだころでしょう。

 まだ咲き残っているツリフネソウの群落の先に、真新しいログハウスが出現したので、ここで昼食休憩とする。
高い天井と立派なトイレ・洗い場に倉庫室や更衣室、木のベンチがいくつもあるのには一同びっくりする。

 先ほどのパトローラーの男性が再び現れて、この設備は水田作業を行うボランティアのために東京都が造ったものだと教えてくれた。
 こんな山里に思いがけなく立派な休憩場所が用意されていたことに一同感謝しながら乾杯とする。
ヘルシーなツマミを肴に、話題は来週土曜日からの尾瀬行きだ。
冬支度での服装のことや、三条の滝の見事さなどで大いに盛り上がった。

 大休憩の後は、大悲願寺へと向う。
建久2年(1191)武将、平山季重が建立した寺で、真言宗豊山派の名刹として知られ、伊達政宗も褒め称えた白萩の寺としても有名だ。
 花は盛りをすぎていたが、静謐な佇まいは荘厳な気分にさせられる。
村谷は境内の弘法大師の像に深々と頭を下げていた。

※大悲願寺の白萩は、見ごろを過ぎ、雨に濡れて…
  ⇒ 前回2006年9月23日の写真で白萩をご覧ください。 

 再び五日市線を越えて、急坂を下り、岩走神社で天候がもってくれたお礼を言い、秋川のほとり・五日市街道に出ると其処は、行き交う車が多く人間世界に戻ってしまった。
   
 山田交差点を左折し、武蔵増戸駅から電車に乗り、拝島駅で下車し、南口前の蕎麦処・更科に入店、軽く打ち上げてから解散した。(村谷 記)

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 コース
  
JR五日市線・武蔵五日市駅〜三内神社〜天竺山〜横沢入(谷戸、棚田)〜大悲願寺・白萩鑑賞〜岩走神社〜JR五日市線・武蔵増戸・
      <歩行時間:2時間+α>

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★2008年9月30日(火)「武蔵五日市 あきるの 天竺山〜大悲願寺」

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