村谷は猛暑日予報が一段落したので、標記旧都電38系統の路線巡りを行った。
本来、38系統は錦糸堀車庫前から日本橋まであった都電屈指の人気路線で、都電最後の日となった昭和47年(1972)11月12日の「都電全廃の日」まで残った3路線の一つだった。
今回は、その中でこれまでの重複部分を除き、錦糸町に本社を構えて、江東区と江戸川区で3路線を運航していた旧城東電気軌道・洲崎線部分を歩くこととした。
午前10時30分、亀戸駅前交差点から出発する。まずは京葉道路を東進するため、日陰の南側の歩道を選択する。
歩道橋下にあり「靴下1足108円」などで人気があったマル三洋品店は、明治通りのさらに北側に移転していた。
目論見通りに日陰続きで「水神森」交差点に到着した。ここまでは「小松川線」だった。変わった地名の由来は、少し離れた場所でYSC散歩では度々訪問している「亀戸水神社」の後背森として、鬱蒼たる樹木が茂っていたからだという。目の前にある今年4月28日にオープンした亀戸クロックに、次々と人々が吸い込まれてゆく。
今回は立ち寄らず亀戸緑道公園に右折する。ここから本日の終点の東陽公園前までは「砂町線」だった。予想通り頭上は古木の桜並木、さらにその外側の両面は高層ビルとあって、日傘に不自由はない。
目の前を上から下まで黒一色に統一した、ノースリーブのワンピースでスリムな長身の三十路かとも思われる女性が、きれいに毛並みを整えた子犬を散歩させている。近年、錦糸町から亀戸にかけて、通勤の至便性に着目した世代の移住が増えているためかもしれない。シロガネーゼならぬカメイドママー?の出現か。
頭上を首都高速7号線・小松川線が走る堅川河川敷公園を横断する。右手方向には日陰で水辺もあるまだ真新しい公園で、ゆったりと子供たちを遊ばせている若いお母さんたちがいた。
城東電気軌道の軌跡が数々残る堅川人道橋を渡ると、大島緑道公園に名前が変わった。桜並木が少し寂しくなったので、日傘を取り出す。
狭い軌道跡は、歩道部分がピンクで、自転車用がブルーに色分けされているのは変わらない。
新大橋通りを横断する。地下部分には都営新宿線が走っている。
大島1丁目交差点で明治通りに合流する。この付近は現在でも2車線なので、マッチ箱のような四輪電車がほほえましく走行していた姿が想像された。
進開橋で 小名木川を渡る。江戸入府早々に徳川家康が隅田川と 旧中川を結ぶ最優先水路として開削した幹線水路で、最大の川幅は50mもあったという。その先の江戸川区部分は新川で、行徳までの水路として大いに利用された。
小名木川駅前交差点を横断する。右手一帯は首都圏最後の大型再開発物件として、2010年に旧小名木川貨物線駅跡を再開発した大型マンション・巨大商業施設・スポーツクラブ・老健施設などが立ち並んでいる。
続く北砂2丁目停留所の先には、都内でも名を知られた砂町銀座商店街入り口。「ザ激安・魚勝」の店頭にはすでに20人以上の行列ができていて、「エリンギ1パック50円」「しめじ3パック100円」「白菜大玉1個100円」に群がっていた。村谷のザックには空きが少ないので通過する。その隣にある激安ランチ寿司の「海幸」はまだ行列がない。
境川交差点で清洲橋通りを横断する。日差しが一段と強くなって、日傘が熱い。
弾正橋で 仙台堀川公園を跨ぎ超える。仙台堀川は明治期に開削された人工河川「砂町運河」で、江戸期からある江東地区の幹線水路・小名木川と横十間川を結び、大正期および昭和前期まで江東区内の工業活動に活用された。
南砂3丁目交差点で明治通りを横断して、南砂緑道公園に入ると、ここもピンクと水色に歩道が塗り分けられていたので、ピンク部分を選択する。ベンチが沢山あり、高齢者か休憩中の肉体労働者の方が占拠していた。
公園の右手の小高い部分に線路の断片と車輪が設置されていて、ここが城東電気軌道の路線が走っていたという解説版があった。
江東免許試験場前バス停(旧南砂4丁目停留所)で永代通りに突当り右折する。
午前11時20分に、東陽町駅前交差点にゴールインした。本日の所要時間は50分間だった。
すぐ先の東陽公園に入ると、午前中のせいなのか広い園内にはベビーカーをおいて幼児と遊ぶヤングママが数人だけ。一番大きな桜の木の下にあるベンチを無事に占領して休憩タイム。足元には新聞紙を広げ、上から下まで汗まみれの衣類をできるだけ脱ぐ。
昼前に飲む冷えた缶チューハイの味は格別だった。つまみはレモン味のベビーチーズと白エビもち焼きせんべい。
正午を回ったので東京メトロ東西線・東陽町駅から乗車し、社友会事務所で行われている囲碁の会「小石会」会場に向かった。
次回は39系統(早稲田〜厩橋)を歩く予定だが、大半を踏破済みなのでショートカットすることになる。(村谷 記)
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★2022年8月19日(金)『旧都電路線巡り「38系統(錦糸堀車庫前〜日本橋)」のうち亀戸駅前〜東陽公園前』