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 村谷は、天候不良で間隔があいていた七福神巡りを久々に行った。

 今回は江戸で最古とされる谷中七福神を選択した。江戸初期の寛永年間(1624〜45)に、上野寛永寺を創建した天海大僧正が、不忍池を琵琶湖の竹生島に見立てて不忍辯財天を勧請した。その後、それを終着場所として目指す七つの寺巡りが始まったとされている。

 本日は午後からの天候が不安定という予報があったため、途中撤退も視野に入れて逆コースを選択した。正午に東京メトロ・銀座線・日比谷線・
上野駅に到着し、地下道から京成上野駅方面出口を経て、地上に上がった。地面は濡れていたが傘を差している人はいない。

 動物園通りを北上し、不忍辯財天の参道を左折する。露店が数店出ていて、人通りが少なく暇そうだった。辨天堂に参拝した後、右手にある豊臣秀吉と縁が深いという大黒天堂にも参拝した。来週土曜日の9月18日は、「巳成金(みなるかね)」の大祭で、年1回の御開帳日だそうだ。

 信号を横断して坂道を登っていく。上野公園に入ると桜並木の下はすべて緑色のネットで覆われていて、座り込めないように厳重にガードされている。

 上野動物園の正門まで来ると、「予約のない方は入場できません」とのアナウンスが盛んに繰り返されていて、30分ごとに並んでから入場する仕組みになっていた。人出は平常時の土曜日とは比べ物にならないくらい少ない。動物園の塀に沿って進む。
右手には東京都美術館があり、昨年訪れたW氏の絵画展が、「今年9月の展覧会は中止になりました。来年7月1日〜8日に開催予定です」という知らせが、先日届いていたことを思い出した。

 旧奏楽堂(国指定)の趣ある建物横を通過し、東京藝術大学の建物の間を抜けて、次の護国院に参拝する。三代将軍家光が贈った大黒天画像が祀られていて、旧歌舞伎座等を設計した岡田信一郎作の建物は、国の登録文化財。無人の境内の一角で、最初の水飲み休憩とした。

 続いて谷中霊園方面に北上する。谷中6丁目交差点で言問通りを横断すると、寺院群が出現した。
幼稚園の敷地が広い歓智院に突き当り右折、ふたたび北上し、左手の長安寺に参拝した。寿老人が祀られている。敷地も小ぶりで、江戸末期から明治期に活躍した日本画家・狩野芳崖の墓がある。

 門前を出て右手の銀杏通りを進み、桜通りに突き当り交番前の交差点を左折した。すぐ右手に五重塔跡公園があったのでベンチに座って2度目の休憩。スタートした時は曇天だったのに、お参りするたびにどん青空が増えてくる。
ペットボトルのお茶でチョコレートナッツ2,3個を食べてから、解説板の記述を確認した。幸田露伴の小説のモデルになった天王寺五重塔が昭和32年、心中による放火で焼失した知識はあったが、それ以前の初代五重塔が明和9年(1788)の目黒行人坂の大火で焼失していたことを知った次第。

 休憩を終えて少し先の天王寺に参拝する。広大な敷地を誇る日蓮宗の古刹で、谷中霊園はすべてその境内だった。江戸時代には目黒不動尊・瀧泉寺と湯島天神とならぶ富くじの勧請元の一つとして大いににぎわったという。金運や開運、商売繁盛のご利益があるという毘沙門天が祀られているのもむべなるかなと感じた。

 紅葉坂を下りJR線・
日暮里駅南口方面に出た。線路沿いに北上し、御殿坂に突き当り右折、坂道を登っていく。駅近とあって人出が一気に増え、マスクを装着しなおす。短い坂を下っていくと正面に「谷中銀座」のアーケードが出現した。狭い通りは人がすれ違うのがやっとという混雑ぶり。幸いにも進路は右折なのでやれやれ。再びマスクを外した。

 前方右手にショッキングピンク色の塀が出現、布袋尊を祀る修性院で、江戸中期には近接する青雲禅寺とともに境内に多くの花樹を植えたため、行楽地としてにぎわったという。ピンクの塀には様々なポーズの布袋尊が描かれていて、親しみやすい雰囲気を醸し出している。

 すぐ先右手の階段を上り、恵比須天が祀られている青雲禅寺に参拝した。

 高輪ゲートウエイ駅ができるまでは最も新しい山手線駅だったJR線西日暮里駅に通じる、道灌山通りを横断する。右手先には開成中学・高校の校舎が臨める。
さらに線路と並行して北西方面に進み、与楽寺手前から左折して、バス通りに出て北上、JR線・田端駅方面を目指す。

 左手に区画整理で拡張された道路が出現、すぐ先ひだりてに赤い幟旗が林立する東覚寺だ。2体の大きな仁王像に赤紙を張ると病や悩みが解消されるという赤紙仁王尊で知られている。福禄寿が祀られていて、本来の谷中七福神はここからスタートする。

 参拝を終えて道路沿いに新しく作られた田端2丁目児童遊園で最後の休憩、時刻は午後1時半過ぎ。木の下に広く箱型に囲ったベンチがあり着座する。いつもの通り休憩用の服装に変えて、持参の缶チューハイを空ける。青空を見上げながら、ベビーチーズとナッツチョコをつまみに30分間の休憩。
雨雲は一向にやってくる気配はなく、夏の空気が辺りを支配している。

午後2時過ぎに
田端駅から帰途についた。(村谷 記)

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★2021年9月11日(土)「谷中七福神巡り(上野駅〜田端駅)」