前日の社友会将棋大会で全勝した余勢をかって、東京駅6時53分発の上越新幹線に乗り込んだ村谷は、高崎駅で上越線に乗り換え、9時21分、水上駅のひとつ手前の無人駅・上牧(かみもく)駅に降り立った。
目指すは、修験の山として知られた大峰山だ。最近は、上毛高原駅方面から望郷ラインで、月夜野町営見晴荘を経て登山口まで車で直行することができるので、すっかりマイナーになってしまった旧道だ。
「右 谷川岳、左 大峰山」の道標を左折し、吾妻橋で利根川を渡る。
澄み切った流れが、陽光できらきらと輝いている。畠や田んぼで農作業に忙しいのは、老人ばかりだった。
国道291号線を横断し関越自動車道を潜り抜けると、急勾配の遊歩道が出現。小和知という地名だが、立派な家々や土蔵が続き、なかなか裕福らしい。
濃淡がくっきりしたコスモスが咲き誇っている。どんどん登っていくが、道の両側には不動沢と前沢が流れていて、耕作には好適なのだろう。
二本松から山道になる。大峰沼までちょうど2キロだ。茂みが深そうだったので、道端の枝を杖代わりに拝借する。想像したよりもしっかりと幅があり、歩きやすい。
ところどころに階段があり、かってはよく歩かれていたようだ。
水分不動と思しきところで、視界が開けたので一休み。正面に、赤城山、武皇山、至仏山が雄大に広がる。ところが、これから先の上り口がみつからない。残りは1キロほどなのに、やむなく左手に続く林道を下って、駐車場のあるゲートまで戻ることにした。2キロほどの広い道を淡々と行く。
立派な案内板がある新登山口(860m)からは、20分ほどで大峰沼に到着した。12時近くなったので、キャンプ場のテーブルで昼食とする。日陰で少し寒かったが、バーナーを点けて湯を沸かす。稲荷3個と餅いりラーメンに缶ビールが旨い。隣の家族連れの男の子がバーナーが珍しくて、盛んに覗きこむ。大きな浮島がある沼の周りの紅葉は今ひとつだったが、大峰山の稜線が水面にくっきりと映っている。
先を急ぐため、頂上には急斜面を直登することにした。谷川岳の頂上が見えてきて、程なく尾根道に出る。山頂は見晴らしも泣く平凡だったが、折りよくきのこ採集の男性に出あったので、シャッターを押してもらう。
吾妻耶山(1341m)まではさらに1時間かかると聞いたので、次回に譲り、赤谷越峠から下山することにした。ノルン水上スキー場のゲレンデを一気に下って距離を稼ぐ。
降りきったところに大きな建物があり、こんな山の中でラフティングができるそうだ。
誰も使っていない寺間運動公園を過ぎ、水上インター脇に出たのが、3時過ぎ
だった。道の脇にある大峰神社に無事の下山のお礼をする。
次のバスまで1時間近くあるので、水上駅までの残り3キロを歩くことにした。
ひっきりなしに車がすれ違うが、下りがほとんどで歩道がしっかりしていて安心だ。
温泉街のはずれに入りほっとする。週末とあって客が多い。ホテルじゅらくの正面玄関に、園まりショーのポスターが貼られていた。射的場を賑わしていたのも、中高年女性だ。